現場と事務所の生産性向上を目的に、iPadの導入と現場DXアプリの選定へ
- Q .クラウド型図面共有アプリ*「CheX」(※以下CheX)を導入する前の“課題”や“選定経緯”などについて教えていただけますでしょうか。
- A .当時は各現場で紙の図面を使用して情報を共有していたため、工事が始まる前にメンバー同士で集まって資料を確認し、各種情報について共有および打ち合わせを行っていました。そのため、現場で新たに発生した内容の確認や指示については、常に複数の図面を持ち歩いているわけではなかったため、事務所に戻らないと状況をつかむのが難しい状態でした。また現地調査後は事務所に戻ってデジカメで撮影した数百枚単位の写真を整理したり、その中から必要な情報を図面に落とし込んでお客様へ提出するための書類(竣工図書)を作成する業務があるのですが、大量に撮影した写真データの中から、どの現場・場所・方向で撮影した写真なのかを瞬時に判別できないこともあり、情報整理や確認に膨大な時間が発生していました。時には撮影写真がぶれていて認識ができず、改めて現場へ行って撮り直すということもありました。また紙の図面やデジカメの場合、雨や砂ぼこりによる図面の汚損、機器の紛失に伴う情報漏洩といったリスクも懸念していました。こうした慢性的な課題を解決するために、iPadの導入と併せて現場DXアプリの選定を始め、本格的にペーパーレスを推進していくことが決定しました。
様々な現場DXアプリを比較・検討した結果、当社がCheXを選定した理由は主に三点あります。一つ目は、操作性(UI*)が良く、デジタルツールの導入に対して保守的なメンバーでも直感的に操作することができる点です。今後、現場メンバーが日常的に使い続けることを想定し、誰でも直感的に操作ができるツールが選定のポイントになりました。二つ目は、全社展開を見据えていたことから、コストパフォーマンスが重要な要素となりました。CheXはサブスクリプション形式の料金体系のため、業務の繁忙期や利用状況に応じて、ユーザー数やデータ容量を月単位で柔軟に調整できます。これにより、コストパフォーマンスを最大限に活かすことが可能です。三つ目は、三城さんによる手厚いサポートにより、メーカー様とのやり取りもスムーズだったことも、選定の大きな決め手となりました。当時は様々なメーカー様と打ち合わせを行いましたが、道外メーカー様の場合はリモート対応になってしまうため、対面でのやり取りに比べて疑問点の細かなニュアンスが伝わりにくく、認識の齟齬が生じることを懸念していました。三城さんの場合は、当社へ何度も訪問してくださり、疑問点をタイムリーに解決してくれましたので本当に助かりました。これらを総合的に考慮した結果、当社はCheXを採用しました。
※クラウド型図面共有アプリ*・・・図面や工程表・作業指示書・工事写真などの文書を電子化することで、iPadからタイムリーに閲覧・共有することができるアプリです。
※ UI*(ユーザーインターフェース)・・・ユーザーと製品の接点(見た目、使いやすさ)です。
CheXの導入効果をきっかけに、組織全体のDX推進に対する意識を変革
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エネルギー開発部 ソリューション推進グループ / Y.O. 様(旧:エネルギー開発部 設計監理グループ) -
事業基盤統括部 事業基盤統括グループ リーダー / M.H. 様 -
株式会社三城 建設事業部 建設ソリューション課 課長 / K.Y.
- Q .「CheX」を導入後、現場や事務所など、全体的にどのような“効果”や“反応”がございましたでしょうか。
- A .【エネルギー開発部 ソリューション推進グループ】
CheXの導入により、現場での業務効率は大きく改善されました。図面データ上にピン*を立てることで、撮影場所を的確に特定できるようになったほか、ピン内に写真を保管できるため、事務所に戻ってからの確認作業にかかる時間が大幅に短縮されました。また、ピンを設置する際に施工前・施工後といった情報の入力が省略できる点や、エクスポート機能を活用してそのまま書類の作成が可能になったことも、大きな効率化に繋がっています。私が新卒で入社した当時、1つの書類作成に多くの時間を要していたことを思うと、CheX の導入による業務改善効果は非常に実感のあるものでした。
私はこのプロジェクトの推進担当として、CheXの社内展開を積極的に進めてきました。導入当初はデジタルツールに対して保守的なメンバーも多く、理解を深めてもらうために、三城さんのご協力のもと、社内向けの勉強会を複数回開催しました。メンバーから寄せられる様々な質問や意見に丁寧に向き合いながら、CheXの効果や機能について一つひとつ説明し、納得してもらえるように努めました。保守的だったメンバーも、今では他のツールの導入やトライアルに積極的に取り組むようになり、社内の風土にも大きな変化が生まれました。社内展開のプロセスは決して容易ではありませんでしたが、やりがいのある貴重な経験だったと感じています。私はまだ若手ではありますが、試行錯誤を重ねながら自分なりの視点で考え、行動に移すことが成長に繋がると信じています。それが自然とモチベーションの向上にも結びついており、仕事に対するやりがいを感じる大きな要因にもなっています。
※CheXのピン機能*・・・図面・地図上にある特定の場所にマークし、そこへ付箋のようにメモや写真を登録することができる機能です。図面内の特定の場所・方向に関する詳細情報を整理し、クラウド上でタイムリーに共有することが可能です。
CheXの導入により圧倒的な業務変革を実現、若手社員が先導して推進へ
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エネルギー開発部 機器設備グループ マネージャー / K.T. 様 -
エネルギー開発部 機器設備グループ 主任 / R.F. 様 -
エネルギー開発部 機器設備グループ / Y.M. 様
- Q .「CheX」を導入後、現場や事務所など、全体的にどのような“効果”や“反応”がございましたでしょうか。
- A .【エネルギー開発部 機器設備グループ】
CheXの導入により、現場写真の整理方法が大きく変わりました。現在では、図面上の目的の場所にピンを立てることで、その場所ごとに撮影写真やメモを一元的に保管できるようになっています。施工前・施工途中・施工完了といった各工程の写真をピンの中に順番に保管しておくことで、現場の状況をいつでも視覚的に把握することができます。特に大規模な現場において、万が一撮り直しが必要になった場合でも、ピン内の写真データを確認すれば、再撮影が必要な箇所や状況を即座に把握できるため、無駄な工数を減らすことができます。また、お客様への提出書類の作成にもCheXは非常に有効です。何番ピン・どの部屋・どの工程(施工前/途中/完了)といった情報を順に並べて、メッセージと共に資料へ反映させることができるため、現場の情報をリアルタイムに書類へ反映できる点は大きなメリットです。
そして管理者の立場から特に強く感じているのは、CheXを活用することで、メンバー間の情報共有が非常にスムーズになったことです。時間や場所を問わず、現場データをリアルタイムで共有できるため、急遽メンバーが休暇や別の現場対応などで現場に入れなくなった場合でも、電話で確認を行うだけで他のメンバーに作業を引き継ぐことができるようになりました。紙の図面や印刷資料を持ち歩く必要がなくなったことで、現場へ向かう際の荷物も大幅に減り、現場担当者の負担が軽減されたのも大きなメリットです。従来はデジカメを使って現場の写真を撮影していたため、機器管理の煩雑化や、紛失・破損による情報漏えいやデータ消失のリスクを懸念していましたが、現在はiPadやスマホで写真を撮影しているため、デジカメの台数を減らすことができ、以前よりもセキュリティリスクを低減することができました。
また、当社のペーパーレス推進状況を数値化したところ、CheX導入前後で当部門単体で約6,500枚、協力会社を含めると約13,000枚のペーパーレスに繋がっている計算になります。さらに、当社全体としては複合機から出力する紙の量を平均約134,000枚/年、削減することができており、北ガスグループ全体におけるペーパーレスの取り組みを大きく後押ししています。CheXの活用により、今まで以上に紙の使用を減らせただけでなく、書類の印刷にかかる費用(電力使用、用紙、トナー)、シュレッダーを利用する際にかかる費用(電力使用、囲み袋)、機密資料を廃棄する費用も削減されるほか、これらにかかる労務費用など目に見えにくいコストの削減にも繋がっています。
CheXを段階的に活用することで、協力会社との連携強化と定着を実現
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導管工事部 導管工事グループ 主任 / Y.T. 様 -
ガス設備部 導管維持グループ 主任 / S.D. 様(前:導管工事部 導管工事グループ 主任) -
導管工事部 導管工事グループ / T.F. 様
- Q .「CheX」を導入後、現場や事務所など、全体的にどのような“効果”や“反応”がございましたでしょうか。
- A .【導管工事部 導管工事グループ】
CheX導入当初は、「まずは現場で図面を見るだけ」といったシンプルな用途から活用をスタートしました。操作に不安のあるメンバーにも抵抗なく取り組んでもらえるよう、わかりやすいマニュアルを展開し、苦手意識の払拭に努めました。そこから徐々に、iPad上で図面に直接書き込むといった具体的な活用へとステップアップしていき、自然とCheXの利便性が浸透し、メンバーの活用頻度も高まりました。次のステップでは、協力会社にもiPadを支給し、CheXの活用を促す体制に移行しました。この取り組みが社内の意識に大きな変化をもたらし、「協力会社に使用を促す立場である以上、まず自分たちがしっかり操作方法を理解しておこう!」という前向きなマインドが生まれ、社内では自然とメンバー同士で使い方を教え合う風土が定着しました。協力会社との一体的な運用体制が確立されたことで、業務全体の流れも大きく改善されました。以前は、協力会社や現場担当者にそれぞれお渡しする資料として何度も印刷をしなければならない場面がありましたが、今ではCheXに図面データをアップロードするだけで、最新の情報を確認することができるようになり、時間と手間が大幅に削減されています。さらに、事務所と現場が離れていても、CheX上でリアルタイムに資料を共有することができ、迅速な意思決定・対応が可能となっています。協力会社との連携もスムーズになり、全体として高い相乗効果を感じています。CheXの導入によって、業務効率が向上しただけでなく、情報セキュリティの面でも多くのメリットがありました。現場への資料はiPadで共有されるため、紙資料の紛失などによる情報漏えいの心配もなくなりました。
Challenge 2030に貢献する現場DXで、カーボンニュートラルやGXの実現へ
- Q .北ガスジープレックス様の新たな取り組みや、今後三城へ期待することなどがございましたらお願いいたします。
- A .北ガスグループでは、“エネルギーと環境の最適化による快適な社会の創造”に向けて新たな取り組みを行う「Challenge 2030」 という経営計画があります。2050年以降のカーボンニュートラルを展望しつつ、2030年を中間点と位置付けた経営計画になるのですが、当社にはメインのガス関連の工事と併せて、様々なジャンルの事業ドメイン拡大や人財育成 といった全社目標があります。現在は民間・地方自治体含めて様々なお仕事の依頼をいただくことが増えており、お客様との会話の中でも従来のガス関連の工事に加えて、省エネやCO2削減に繋がる付加価値の重要性も高まっていますので、さらなる事業展開を推進していきたいと考えています。
三城さんには、CheX導入にあたって社内各部署への操作説明や運用支援をはじめ、全社展開から定着化まで一貫してご支援いただきました。導入後も継続的に安心してご相談することができる存在です。今後も日々アップデートされるCheXの新しい機能について情報提供いただき、あわせて当社の業務に適した活用方法をご提案いただきたいと考えています。また、当社が利用して気づいた点などの改善要望を、三城さんを通じてメーカー様に依頼するなど、これまで通りフットワークの良さを期待しています。
